【勤務時間終了後に事業所外において開催された歓迎会の二次会に,業務執行性が認められるか】

新・判例解説Watch掲載の裁判例です。
http://lex.lawlibrary.jp/commentary/pdf/z18817009-00-031121343_tkc.pdf

新入社員歓迎会の2次会で男性社員からセクハラを受けたとして,福岡トヨペット派遣社員だった20代の女性が,同社と男性社員に計約120万円の損害賠償を求めた訴訟です。男性社員だけでなく,会社の使用者責任も肯定されました。業務該当性の論点では,最判H16.11.12の密接関連性の基準が採用されています。男性社員が暴行罪で罰金刑が確定していることからしても,事実行為的不法行為・暴行型の同基準が採用されたのは納得ですね。


【被用者の加害行為は、「事業の執行について」といえるか】【最判H16.11.12】
 そもそも、使用者責任の趣旨は報償責任の原理にある。
 そのため、事実行為的不法行為の場合においては、
●使用者の行う事業と被用者の不法行為とが密接に関連していることを指す
 と解する。
【勤務時間終了後に事業所外において開催された歓迎会の二次会に,業務執行性が認められるか】【福岡トヨペット・セクハラ事件/福岡地判H27.12.22】
 被告Y1は被告会社の従業員であるところ,本件行為は,勤務時間終了後に職場外の場所で行われたものではあるものの,原告ほか1名の新入社員歓迎会の二次会であったというのであるから,被告会社の業務に近接してその延長において行われたものと評価でき,被告会社の職務と密接な関連性があり,その事業の執行につき行われたと評価すべきである。
 よって,被告会社は,原告に対し,使用者責任に基づき損害賠償責任を負う(民法715条)。